「宇宙超出」とは

 

■「私たちが理解すべきただひとつのこと」としてこれまで述べてきたことは、沢登佳人の提唱する「自己超出論」「宇宙超出論」という考え方の一部を私の問題関心から再構成したものです。それでは、そもそもの宇宙超出論とはどのような思想なのでしょうか。

宇宙超出論の世界観ENGLISH

■宇宙超出論では、物と心の一元的把握という観点から、「生命は自己超出(新たな自分自身の発見・創造)である」、「物質とは未来の諸可能性である」といった極めてユニークな考え方を展開しています。そのポイントは以下の3点にまとめられます

(1)生命は、未来の諸可能性である物質の中から、過去体験の統一的意味連関を参照して、特定の一つを意思的に選んで認識(定在化)することを繰り返して自己超出をする。これが生命の実体である。

(2)生命は個々の生物に個々に宿るものではない。全生物個体・全生物種が共有する一つの生命が、個体ごとにそれぞれ独自個性的でかけがえのない生命活動と自己超出を行っている。そして、それらすべての生命活動=自己超出が相互補足関係で結びついて、生態系の自己超出すなわち生態系全体の全面的進化を行っている。

(3)生命は、物質宇宙を次々に創り替えてはそこに新たな生物・生態系を創り、生物・生態系の生命活動=自己超出を通じて無限に自己超出する。

■以上が「宇宙超出論」の概要です。少々難解だと感じられたと思います。「自己超出論」「宇宙超出論」に関心を持たれた方は、ぜひ、以下の著作に挑戦してみてください。

●沢登佳人『存在と文化 第一巻・第二巻・第三巻』(風媒社、1971年)
●沢登佳人『権力止揚論』 (大成出版社、1981年)
●沢登佳人『宇宙超出論―人生のむなしさを超えて』(白順社、1990年)
●沢登佳人『宇宙超出への道―永遠のいのちをたずねて』(白順社、1992年)
●沢登佳人『臓器移植と人間の生命』 (白順社、1999年)
●沢登佳人『本能知と理知』(白順社、2003年)
●沢登佳人『生命とは何ぞや 生と死の総合科学的解明 』(現代人文社、2009年)
●沢登佳人『自己超出する生命 生命の尊厳と人間の責任』(現代人文社、2012年)

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