(1)この世界を確固として存在させているものは何か

●目の前にコーヒーカップがあると想像してください。私たちは、コーヒーカップから反射される光のエネルギーを目の網膜が受容して、コーヒーカップの存在を認識しています。私たちが受け取っているのは、コーヒーカップそのものではありません。コーヒーカップから間接的に伝えられる刹那的な「刺激」です。

●そうであるにもかかわらず、私たちは、コーヒーカップが確固として客観的に存在していると信じています。なぜでしょうか。

●これは、私たちが、網膜で受容した一定の視覚を「覚えている」からです。また、私たちは、昨日もそのコーヒーカップでコーヒーを飲んだことを覚えています。1ヶ月前にもそのコーヒーカップを用いたことを覚えています。

●すなわち、私たちにコーヒーカップの存在を確かなものと感じさせているのは、実は、私たちの「記憶」なのです。私たちは、感覚器官が受容した一定の感覚を記憶しているので、コーヒーカップがずっと継続的に存在していると思うことができるのです。

☞果てしなく広がるこの世界が存在することと、私たちが世界を認識することとは同じことである