【問12】現代人は誤った世界観(偏見)を持っていると指摘していますが、現代人の誤った世界観(偏見)とは何ですか。

■元来、ワンネスの世界(全体意識の世界)の住民である私たちは、新たな体験をして、魂をさらに成長させるために、この世界に転生してきます。その際、私たちは、ワンネスの世界(全体意識の世界)の記憶を除去して、まっさらな状態で転生します。その方が、創造性の高い人生を送ることができるからです。

■しかし、現代社会においては、私たちは、人として誕生してから、知らず知らずのうちに、現代の社会システムを支えている思想(世界観、偏見)を身に付けてしまいます。まっさらな状態で自由にふるまう点に価値があったはずなのに、私たちは、いつのまにか、現代社会を支える思想(世界観、偏見)に毒されてしまうのです。

■さて、現代の社会システムを支える思想(世界観、偏見)とは何でしょうか。ここでは、(1)組織体の実在化、(2)経済的合理主義、(3)物質至上主義の3点から説明したいと思います。

(1)組織体の実在化(絶対視)

■元来、組織体(国家、社会、会社、学校など)は、一定の目的のために設けられた、人間関係を豊かにするための道具概念またはルールの総体です。しかし、現代社会では、組織体(国家、社会、会社など)は「実在」するもの(または絶対的なもの)と理解されてしまっています。

■組織体(国家、社会、企業など)が実在となったとき(または絶対視されたとき)、これに奉仕をすることが私たちの使命であるとする常識(偏見)が作られていきます。元来、手段であるはずの組織体(国家、社会、企業、学校など)が主役になり、主役であった私たち自身が「手段」「道具」になっていくのです。

☞組織は実在しない―国家、会社、学校などの捉え方―

■また、ここから、私たちは、人間(自分)に対する誤った見方(偏見)も身に付けていきます。

(1)まず、上で述べたとおり、私たちは、人を「手段」と考える思想を身に付けていきます。人は、「国家のために」「会社のために」働く道具であると認識されるようになるのです。また、私たちは、社会に役立たないと考えられる人間に対する差別意識も芽生えさせます。

(2) 次に、私たちは、人をランク付けする考え方を身に付けていきます。組織体が大きくなるにつれて、内部の構造は階層的なもの(官僚制)となっていきます。ここから、私たちは、社会的階層の上位にいる者ほど価値がある人間であるという価値観(偏見)を持つようになります。また、現代社会では、上位のランクに上がることが私たちの人生の目的であるとする常識(偏見)も広まっていきます。さらに、私たちは、これに伴って、日常的に、他の者と比較をする性癖を持つようになります。

(3) 3つめに、私たちは、自分自身の行為規範を外側に求めるようになります。元来、自由の意義は、自分の行為規範を自分で設定するところにあります。しかし、私たちは、社会正義、道徳、世間体などといった形で提示される行為規範に従うようになります。私たちは、国家、社会、会社のルールに従って行動することが人としての正しい生き方だと考えるようになるのです。

(2)経済的合理性

■現代社会は資本主義社会と言われています。 資本主義社会とは、生産手段を所有する資本家が、労働者を雇用して商品を生産し、自由な市場経済において利潤を追求していく社会です。資本主義社会は、利潤の獲得を目標としています。

■ここから、私たちは、上の「組織体の実在化」で指摘した、人に対する誤った見方(偏見)をさらに強化させていきます。

(1) まず、人を手段と考える思想が一層、強化されます。上で述べたとおり、資本主義社会では、利潤をあげるという明確な目的が設定されますので、人間は、その目的を実現するための「道具」と考えられるようになるのです。

(2)次に、私たちは、経済的価値を生むかどうかで人を評価するようになります。また、経済的価値を生まない者に対する差別も生まれます。経済的価値は数値化が容易なので、人間のランク付けも、より徹底した形で行われるようになるのです。

(3)物質至上主義

■そして、以上の思想(偏見)の基底には、この世界は、私たちの主観(認識)を離れて、客観的に存在するという思想(偏見)があります。これは、外的世界を絶対視する思想ですから、物質至上主義と言ってもよいでしょう。物質至上主義者は、一般的に、「意識」は脳が作り出す作用であると考えます。また、物質至上主義者の多くは、魂の永続性やあの世の存在を否定します。

■物質至上主義から派生する人間(自分)に対する見方(偏見)は次の3点です。

(1) まず、人の矮小化です。この広大で絶対的な世界(宇宙)と比べたら、私たち人間は、実にとるに足らない存在に過ぎません。

(2) 次に、人と人との分断です。私たちを身体的存在としてみると、私たちはそれぞれ別個の孤立した存在です。

(3) 3つ目は、人の客体視です。人を身体的存在とみるということは、人を「客体(モノ)」としてみるということです。上で示した人の手段化や人に対するランク付けは、人を主体としてではなく、客体として扱う思想がその根底にあります。


■以上、3つの観点から、現代人に刷り込まれた誤った思想(偏見)について述べてきました。現代社会において、これらの思想(偏見)は、改めようとしても容易に改められるものではありません。なぜなら、私たちは、現代の社会システムの中で生きている限り、知らず知らずのうちに、こうした思想(偏見)に染まっていくからです。

■最初に述べたとおり、私たちは、ワンネスの世界(全体意識の世界)の記憶を除去して、まっさらな状態でこの世に生まれてきます。しかし、現代社会は、ワンネスの世界(全体意識の世界)の考え方を強力に否定する思想で満たされています。ですから、私たちは、現代社会に染まれば染まるほど、ワンネスの世界(全体意識の世界)など存在しないという考えに導かれていきます。

■現代社会は、私たちが魂を成長させる場としてふさわしいのでしょうか。私にはよく分かりません。しかし、現代社会は、これまでの人類が経験したことのない新たな世界です。今まで経験したことのない世界を生き抜くということは、私たちにとって新たな挑戦であり、その経験は、ワンネスの世界(全体意識の世界)に新たな知恵を加えることだけは間違いありません。

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