■称名寺庭園(しょうみょうじていえん)は、横浜市金沢区にある浄土庭園です。住宅街にありますが、三方が丘陵に囲まれているため、まわりと隔絶された別世界をつくっています。
■庭園は、元応2年(1320年)に、金沢貞顕(かなざわさだあき)の命により、性一法師(しょういつほうし)によって作られました。しかし、鎌倉幕府の崩壊により伽藍の維持が困難になり、江戸時代には往時の堂塔の姿は失われました。その後、大正11年に境内が国指定の史跡になり、昭和53年から昭和62年にかけて庭園の整備事業が行われました。重要文化財の「称名寺絵図」に基づき、平橋・反橋の復元、植栽、石組等の修景が施されました。
■浄土庭園は、浄土思想の影響を受けて、平安末期から鎌倉初期にかけて築造されました。平泉の毛越寺(もうつうじ)や宇治の平等院などが有名です。関東でも、称名寺のほか、源頼朝によって建立された鎌倉市の永福寺(ようふくじ)、足利義兼によってつくられた足利市の樺崎寺(かばさきでら)などがあり、いずれも現在、池などが復元されています。