■常磐線のJR大甕(おおみか)駅から北東に徒歩で15分、日立市の泉神社に到着します。泉神社は、天速玉姫命(あまのはやたまひめのみこと)を祀る延喜式内社で、日立地方では最も古い神社です。「速玉」とは清く澄んだ水を意味しますので、ここにある湧水を神格化したものと思われます。
■弁財天をまつる「泉が森湧水」は、白い砂を吹き上げながら、こんこんと湧き出ており、1日の湧水量は4,320トンに達します。湧水は小さな森の縁にありますが、まわりに高い山などはありません。
■泉が森は、西暦713年(和銅6年)に編纂された「常陸国風土記」の久慈郡の条に、「密筑(みつき)の大井」として記されています(原文は漢文)。
此より東北のかた二里に、密筑(みつき)の里あり。村の中に浄泉(いずみ)あり。俗(くにひと)、大井といふ。夏は冷かにして冬は温かなり。湧き流れて川となれり。夏の暑き時、遠邇(おちこち)の郷里(むらさと)より酒と肴(さかな)とをもちきて、男女会集(つど)いて、休(いこ)ひ遊び飲み(さけのみ)楽しめり。
■泉から湧く水は、道路をへだてて「イトヨの里泉が森公園」に流れ込んでいます。2008(平成20)年に、「泉が森湧水」と「イトヨの里泉が森公園」が平成の名水百選として環境省から認定を受けました。
■イトヨは体長5~6cmのトゲウオ科の魚で、背中や腹に鋭い棘を持っています。一生を淡水で過ごす陸封型と産卵期以外を海で過ごす降海型に分けられます。陸封型のイトヨは関東地方では、栃木県大田原市とここにのみ生息しているとされています。しかし、残念ながら、肉眼ではその存在を確認することはできませんでした。