●ところで、私たち自身も全体意識の一部ですから、全体意識が人類を絶滅へと導くということは、結局のところ、私たち自身が絶滅の道を選んだということです。人類自身が人類絶滅の道を選ぶ?
そんなことがあるのでしょうか。
●しかし、これは大いにあり得ます。この点はむしろ、個人のレベルで考えた方が分かりやすいと思います。私たちは自分の命を縮めると知っていることを平気で行っています。例えば、アルコール依存や薬物依存などです。
●アルコール依存や薬物依存などの現場では、「底つき体験」ということが言われます。アルコール依存者や薬物依存者は、「俺は依存症ではない。いつでもやめられる。」と思って、なかなか医療機関や自助グループと結びつかず、治療が始まらないケースが多いと言われています。また、一旦、医療機関と結びついても、再使用の誘惑から抜け出せず、結局、治療から離脱してしまう割合が高いとも言われています。薬物犯罪として逮捕され刑務所に入れられる、会社を解雇されて生活が立ちいかなくなるといった極限的な状況になってはじめて、自分の依存症に気付くことが多いのです。
●現代人の置かれた社会的状況は、薬物依存者やアルコール依存者と同様です。私たちは、温室効果ガスの排出が地球環境を悪化させると知っていても、現在の化石燃料に頼った生活にどっぷりと浸かっていますので、そこから離れることができません。核兵器を完全に禁止すべきだとは分かっていても、他国からの侵略の可能性がある以上、強国が核兵器を完全に廃棄するという選択肢は考えられません。
●私たちは、心の奥では「地球はとんでもない状況だ、何とかしなければ」と思っていても、「今後の科学技術の発展がきっと解決してくれるだろう」、「為政者も核兵器使用の選択は最終的には回避するだろう」といった根拠なき理由をでっち上げて、本格的な対策を講じようとはしません。そして、地球環境の悪化によって多くの土地が失われ、大量の人間が犠牲になり、または、核兵器の使用によって世界が壊滅的被害を受けてはじめて、この地球の悲惨な現実に直面することになります。しかし、その段階になって、私たち人類に絶滅を回避だけの力は残っているでしょうか。