■私たちはそれぞれ、人類史上、誰も経験をしたことのない人生を、自分自身で切り開きながら生きている。
■そして、この体験だけが(どう生きたのかということだけが)、全体意識の知恵として、全体意識に加えられていく。
■あなたの人生はかけがえがない。
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■さて、なぜ私たちの人生はかけがえがないのでしょうか。「全体意識」との関係で確認しておきたいと思います。
■私たちは、全体意識の世界(ワンネスの世界、あの世)において、時間的にも場所的にも、これまでの宇宙の歴史のすべての体験を共有しています。私たちは、どの時代のどの場所のどのような体験であっても、それを思うだけで、その場所に行きその体験をすることができます。また、私たちは、世界全体を俯瞰することもできますし、虫の中に入って、虫の生を体験することもできます。全体意識の世界では、時空を超えてすべてが緊密に絡まり合い、すべてがつながっているのです。全体意識の目的は、そのすべてを全体として成長させ、発展させていくことにあります。
■そして、私たちが現世に生まれてくるのは、全体意識の世界では経験できない新たな経験をして、新たな創造を行い、全体意識の世界にその新たな経験、新たな創造を付け加えていくためです。私たちの人生は、人類史上、誰も経験したことのない新しい体験です。
■しかし、自分の人生が、人類史上誰も経験をしたことのない経験と聞いて、疑問に思った人もいるでしょう。私たち一般人の人生は、誰も似たり寄ったりであり、とくに日本人は同調性が高いので、みんな同じような経験をしているのではないかと感じられるからです。しかし、これはまったくの勘違いです。
■まず、歴史的にみてみますと、過去の人類の中に現代人と同じ経験をしている人は誰もいません。これほど科学技術が進み、これほどグローバリゼーションが進み、これほど高齢化が進んだ社会で生きているのは現代人だけです。
■次に、現代社会についてみても、日本で暮らしている人と、アメリカで暮らしている人と、アフリカで暮らしている人と、中東で暮らしている人はまったく文化的背景の違う社会の中で生きています。
■次に、日本人でも、戦争を経験した世代、高度経済成長期を経験した世代、バブルを経験した世代、平成、令和世代では、その経験はまったく異なります。
■次に、同世代でも、北海道で生活した人と東京で生活した人と沖縄で生活した人とでは体験は相当に異なります。
■そして、同じ学校に通っているクラスメートであっても、それぞれが異なった性格を有し、異なった境遇の家庭で育っています。あなたは、となりの席の人と自分とを同じだと思いますか。
■以上のとおり、すべての人の人生は、人類史上、誰も経験したことのない新しい人生なのです。
■そうしたまったく新しい環境の中で、私たちは、自由意思に基づいて、自由に行動し、これまで誰も経験したことのない経験をし、これまで誰も行ったことのない創造を行うのです。
■私たちがかけがえのないのは、私たちが、これまでの「全体意識」の中には存在していなかった、あらたな経験、新たな創造を行うからです。そして、その経験は、全体意識の世界に、新たな経験、新たな知恵として付け加えられていきます。私たちは他の人と同じだから価値があるのではなく、違っているからこそ価値があるのです。
■ところで、この価値は、現世における価値とは異なるものです。この世にあっては、個々人の価値は、社会などを基準にして判断されます。「あの人は、社会に多大な貢献をした」、「あの人は歌で多くの人を楽しませた」、「あの人は3人の子どもを育て上げた」などのように。しかし、全体意識においては、そうした基準は存在しません。全体意識には、宇宙誕生以来の様々な経験が集約されています。ペルシャ絨毯のように精緻に、複雑に織り込まれた全体意識の経験の中で、私たちの経験がいつどこでどのように利用されるかは人知の及ぶところではありません。
■しかし、私たちの経験が全体意識の知恵の一部となったということは間違いありません。換言すれば、私たちの経験が全体意識に付け加えられたということ自体に純粋に価値があるのです。