【問5】どうして、ワンネスの世界(全体意識の世界)があると言えるのですか。証拠を示してください。

■これは、量子力学の知見と臨死体験者の体験談から導き出した私の推論です。私自身は間違いないものと確信していますが、証拠についてはすべて情況証拠です。

■【問2】で述べたように、量子力学の諸原理および特殊相対性原理から、私は、私たちの意識が実在(世界、宇宙)を生み出している (定在化している)という結論に至りました。

■そうすると、次に問題となるのは、「意識」とは何かということです。私たちが世界を認識しているということは私たちの実感そのものですから、「意識」が存在すること自体は間違いありません。しかし、「意識」とは何かと問われると、これほど説明が難しいものはありません。

■私は、私たちの「意識」について、以下のように推論しました。

(1)まず、生きている私たちの意識は、私たちの脳に存在するのでしょうか。意識が実在(世界)を作り出しているとすると、意識は物質世界にはないと考えるのが論理的です。つまり、意識は脳にあるものではないと考えられます。

(2)私たちの意識は、肉体が滅びると消滅してしまうのでしょうか。私たちの意識が物質世界に存在するものではないとすると、意識が物質と同じ運命を辿る必要はありません。また、意識がこの世界を作り出しているとすると、意識がなくなると実在(世界)自体がなくなってしまうことになります。これらの点から、私は、肉体が滅んでも意識は存続するのではないかと推測しました。

(3)意識は肉体が滅んでも存続するとすると、これまでに亡くなった人たちの意識、死んだ生物たちの意識も存続していることになります。そうすると、意識の世界には、人類誕生以来の無数の人たちの意識、これまで生きた無数の生物たちの意識が集約されているのではないかと推測されます。

(4)また、意識が実在(世界)を作り出しているとすると、過去(記憶)はどこにあるのでしょうか。過去(記憶)は物質世界の中にはないのは確かです。そうすると、過去(記憶)とは、上に示した亡くなった人たちの意識、死んだ生物たちの意識の集合体のことを言うのではないかと考えられます。

(5)Aさんの意識とBさんの意識とはどのような関係にあるのでしょうか。Aさんの意識とBさんの意識とは別の意識のようにも思われます。しかし、意識は物質世界にあるものではなく、意識はひとつ、ふたつと数えられるものではありません。そうすると、Aさんの意識とBさんの意識とはまったく別物とは言えないように思われます。

■このように、私たちの意識が実在(世界、宇宙)を生み出しているという事実を起点として、意識の性格について、いくつかの推論を行いました。ただし、これが何を意味しているのかは不明でした。

■そうした中、上の推論を矛盾なく説明し、疑問を見事に答えてくれる言説に巡り合いました。それが、臨死体験者が語るあちらの世界の話です。

■臨死体験者は、あちらの世界をどのように語っているのでしょうか。

(1)臨死体験者の体験談によれば、私たちは体外離脱をして、ベッドに横たわっている自分自身やまわりの人たちを眺めることができます。すなわち、私たちは、脳によらなくても、また、感覚器官によらなくても認識を行うのです。

(2)臨死体験者の体験談によれば、上のとおり、私たちの意識は、肉体が滅びても存続しています。この場合、肉体はありませんので、私たちは、意識体(エネルギー体)として存在しています。

(3)臨死体験者の体験談によれば、その世界では、私たち(エネルギー体)は、意識を向けさえすれば、どんな時代のどの場所にでも行くことができます。また、どんな時代のどの人にも会うことができます。さらに、どの時代のどんな生物とも会うことが可能です。もちろん、私たち(エネルギー体)が意識すれば、恐竜に会うことだってできます。

(4)臨死体験者の体験談によれば、私たちは他の人(他のエネルギー体)の意識の中に入り込み、内側からその人を理解することができます。これはすべての生物に対しても同様です。言い換えれば、私たちはすべての生命を分かち合っているのです。

(5)臨死体験者の体験談によれば、私たちの意識は大きく拡大したり、収縮したりします。拡大すると、宇宙全体を包み込むほどに感じられます。

☞ワンネスの世界(全体意識の世界、死後の世界)とはどんな場所か。

■臨死体験者によるあちらの世界の説明は、量子力学から導き出された意識の世界と合致しています。また、意識の構造を全体として見事に説明しています。そこで、私は、肉体から解放された意識は、臨死体験者の体験した世界、すなわちワンネスの世界(全体意識の世界)に帰っていくと確信しました。

■しかも、その世界には、必ずしも臨死体験をしなくても行けるようなのです。アメリカにおいて、1950年代から、感覚遮断実験と呼ばれる実験が行われました。とくに、ジョン・C・リリーの隔離タンクの実験が有名です。リリーは、感覚遮断を行うために、光も音もほぼ完全に遮断したタンク(アイソレーション・タンク)の中に、人間と同じ比重の液体を入れ、それを体温と同じ温度に保ち、その中に素っ裸になって入り浮遊するという方法を考えました。リリーは、1954年から、自分自身を被験者として実験を開始しました。この実験によって彼は、臨死体験者がした体験とほぼ同じ体験をしたのです。どうやら、私たちは、感覚刺激から完全に解放されれば、ワンネスの世界(全体意識の世界)を体験することができるようなのです。

■つまり、ワンネスの世界(全体意識の世界)は、現世とは別の世界ということではないのです。私たちが肉体から解放されるだけで現れる世界です。ということは、私たちは今でもワンネスの世界(全体意識の世界)の住民なのです。ただ、生きている間は、私たちの意識は肉体に囚われており(一定の制限を課されており)、個々人の感覚器官という窓からしかこの世界を眺めることができないのです。

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